今日は、大好きな叔父の88歳の誕生日。スケジュール帳には「おじちゃんに電話」。寡黙な父（兄）とは正反対の社交的なおじちゃん（弟）。共に家具職人だったけど、いつもニコニコ、ゴルフ大好き、町内会の若手（50代、60代）からドラコン、ニアピン総ざらいしてきた叔父。「みんな8万も10万もするドライバー買ってるのにさ、俺は中古で500円で買ったドライバーをいじってドラコンとったなんて言えねえよ」勝つためにはどこまでも研究を欠かさない叔父。一昨年に大好きなゴルフを引退した理由も「勝てなくて悔しいから」。それからも日課の筋トレ、ウォーキングは欠かさない叔父。
でも先週末「さすがに呼吸が辛くて酸素を入れることにしたそうよ」と母から連絡。実は年末に肺がん見つかって先生に手術しないことを勧められて自宅療養。といいつつ、せっせとウォーキング出かけてたけど、歩く時間は短くなって、息苦しくて仰向けには寝られなくなったと叔母からは聞いていて。根っからニコニコ前しか向いてないおじちゃんだから、酸素ボンベだって引っ張って出かけちゃってるかもしれないけど、このコロナで、母の上の階に住んでいるのに、全然会えてなくて、状況がよく分からない。だから、今日は実は、おそるおそる電話しました。
でも電話口から「おー！ゆみちゃんか、誕生日でも、うちの子ら（4人）は何にも言ってこないのに、ありがとな〜」といつもの明るく張りのある元気な声。誕生日が特別な日と思わないのは山崎の血筋すべてに共通してたのねーと思いつつ、あれ、でもやっぱりなんだか喋るの息苦しそう。「ゆみちゃん、今日はさ、俺にとって人生で一番待ち遠しい誕生日だったよ」と言う。どゆこと？叔母ちゃん曰く、誕生日の日付に変わる前夜「あと３時間はがんばるとか言ってんのよ」「俺は80歳まで生きられないと思ってたから88歳まで生きただけで御の字だよ」え？なんでそんなこと言うのー！？やめてやめてやめて、と思うけど、おじちゃんは笑って喋ってるから言えない。「ゆみちゃんのおかげでさ、１回やめたゴルフを70歳から再開できてよ、そんな環境つくってくれてほんと感謝してるよ」当時、打ちっぱなしだけに通っていた叔父をリクルートのゴルフ好き同期に頼んでコースに連れ出してもらった話をしてる。その日から大復活をとげた叔父。ただ、ゆにはコースに出る前おじちゃんに打ちっぱなしで熱血指導300球打ち込みさせられて当日筋肉痛で使い物にならなかったけどね。でもそんな話、なんで今するの…「家にあった160本のゴルフクラブをさ、全部捨てたんだけど」160本！？「でも一本だけ、ど〜しても捨てらんねえのがあってさ」「それだけとっといてあるんだ」「それをさ、誠二さんに使ってもらいたいんだ」もうやだぁ、なんでそんな話するのー！でもおじちゃん、いつも通りに喋るからこっちも明るく「もったいないよー」とか言うしかない。「だからゆみちゃんさ、近く来たとき、持ってってよ。コロナでおじさん会えないけどさ、分かるように置いておくからさ」って、そんなの形見みたいでぜったいやだ。おじちゃん元気なうちはぜったい取りに行かないっ！と心で思ったけど、うんうん、としか言えない。「それからさ、たんクンにさ」とまだ続く。たんクンとはユニオ、本名たかし。おじちゃんだけが未だにユニオのことを小さい時の呼び名で呼ぶ。「本当に結婚おめでとう。それから契約の件、ありがとうって言っておいて」おじちゃん、もう、苦しそう。受話器の向こうで叔母ちゃんが「おとーさん！補聴器つけなきゃ、ゆみちゃんの言ってること聞こえないでしょ！」と叫んでる。「ゆみちゃんの声は大きいから聞こえるんだよ」だって。おじちゃんの声、張りがあるけど、でも、もう本当に苦しそう。「じゃあ、ゆみちゃん、切るよ」「うん、またね」って言ったけど、おじちゃんはいつもなら言う「またね」って言わなかった。
電話切ってから、もう、なんだか仕事がなんにも手につかず、でも夕方、友だちと会う約束があって、どーにかこーにか風呂に入ってぐちゃぐちゃを直して出かけたけど、どーにも抱えきれずに話を聞いてもらったら、うちの叔父を知るその親友が言ってくれました。「ゆにや家族は『そんなこと言わないで』って思うかもしれないけど、おじさんは自分の言葉で『おれ楽しい人生だったよ』『大満足だよ』って言いたかったんだよ。もちろん、もっと楽しみたい気持ちもあるだろうけど、いつ自分の声で伝えられなくなるか分からないと思うから、ありがとうって、楽しかったよって、いつもの明るくて楽しいおじさんのまんまで伝えたかったんだよ」。そうか、「そんなこと言わないで」と思う気持ちは、相手を思いやる言葉ではないんだね。おじちゃんは、きちんと向き合っているのに、私が逃げてどーする。親友のおかげで、おじちゃんの言葉と思い、ようやくちゃんと、きちんと、受け留められました。そしたら「また電話しよっと」って思えてきた。泣くのはまだはやい。迷惑と思われてもね、またすぐ電話する。しちゃうよー。
でも先週末「さすがに呼吸が辛くて酸素を入れることにしたそうよ」と母から連絡。実は年末に肺がん見つかって先生に手術しないことを勧められて自宅療養。といいつつ、せっせとウォーキング出かけてたけど、歩く時間は短くなって、息苦しくて仰向けには寝られなくなったと叔母からは聞いていて。根っからニコニコ前しか向いてないおじちゃんだから、酸素ボンベだって引っ張って出かけちゃってるかもしれないけど、このコロナで、母の上の階に住んでいるのに、全然会えてなくて、状況がよく分からない。だから、今日は実は、おそるおそる電話しました。
でも電話口から「おー！ゆみちゃんか、誕生日でも、うちの子ら（4人）は何にも言ってこないのに、ありがとな〜」といつもの明るく張りのある元気な声。誕生日が特別な日と思わないのは山崎の血筋すべてに共通してたのねーと思いつつ、あれ、でもやっぱりなんだか喋るの息苦しそう。「ゆみちゃん、今日はさ、俺にとって人生で一番待ち遠しい誕生日だったよ」と言う。どゆこと？叔母ちゃん曰く、誕生日の日付に変わる前夜「あと３時間はがんばるとか言ってんのよ」「俺は80歳まで生きられないと思ってたから88歳まで生きただけで御の字だよ」え？なんでそんなこと言うのー！？やめてやめてやめて、と思うけど、おじちゃんは笑って喋ってるから言えない。「ゆみちゃんのおかげでさ、１回やめたゴルフを70歳から再開できてよ、そんな環境つくってくれてほんと感謝してるよ」当時、打ちっぱなしだけに通っていた叔父をリクルートのゴルフ好き同期に頼んでコースに連れ出してもらった話をしてる。その日から大復活をとげた叔父。ただ、ゆにはコースに出る前おじちゃんに打ちっぱなしで熱血指導300球打ち込みさせられて当日筋肉痛で使い物にならなかったけどね。でもそんな話、なんで今するの…「家にあった160本のゴルフクラブをさ、全部捨てたんだけど」160本！？「でも一本だけ、ど〜しても捨てらんねえのがあってさ」「それだけとっといてあるんだ」「それをさ、誠二さんに使ってもらいたいんだ」もうやだぁ、なんでそんな話するのー！でもおじちゃん、いつも通りに喋るからこっちも明るく「もったいないよー」とか言うしかない。「だからゆみちゃんさ、近く来たとき、持ってってよ。コロナでおじさん会えないけどさ、分かるように置いておくからさ」って、そんなの形見みたいでぜったいやだ。おじちゃん元気なうちはぜったい取りに行かないっ！と心で思ったけど、うんうん、としか言えない。「それからさ、たんクンにさ」とまだ続く。たんクンとはユニオ、本名たかし。おじちゃんだけが未だにユニオのことを小さい時の呼び名で呼ぶ。「本当に結婚おめでとう。それから契約の件、ありがとうって言っておいて」おじちゃん、もう、苦しそう。受話器の向こうで叔母ちゃんが「おとーさん！補聴器つけなきゃ、ゆみちゃんの言ってること聞こえないでしょ！」と叫んでる。「ゆみちゃんの声は大きいから聞こえるんだよ」だって。おじちゃんの声、張りがあるけど、でも、もう本当に苦しそう。「じゃあ、ゆみちゃん、切るよ」「うん、またね」って言ったけど、おじちゃんはいつもなら言う「またね」って言わなかった。
電話切ってから、もう、なんだか仕事がなんにも手につかず、でも夕方、友だちと会う約束があって、どーにかこーにか風呂に入ってぐちゃぐちゃを直して出かけたけど、どーにも抱えきれずに話を聞いてもらったら、うちの叔父を知るその親友が言ってくれました。「ゆにや家族は『そんなこと言わないで』って思うかもしれないけど、おじさんは自分の言葉で『おれ楽しい人生だったよ』『大満足だよ』って言いたかったんだよ。もちろん、もっと楽しみたい気持ちもあるだろうけど、いつ自分の声で伝えられなくなるか分からないと思うから、ありがとうって、楽しかったよって、いつもの明るくて楽しいおじさんのまんまで伝えたかったんだよ」。そうか、「そんなこと言わないで」と思う気持ちは、相手を思いやる言葉ではないんだね。おじちゃんは、きちんと向き合っているのに、私が逃げてどーする。親友のおかげで、おじちゃんの言葉と思い、ようやくちゃんと、きちんと、受け留められました。そしたら「また電話しよっと」って思えてきた。泣くのはまだはやい。迷惑と思われてもね、またすぐ電話する。しちゃうよー。
